Research

送電ケーブル用の絶縁材料の評価

    概要

     現在,固体絶縁ケーブルの絶縁材料としては,架橋ポリエチレン(XLPE :Cross-linked Polyethylene)をベースポリマーとした材料が主流に用いられている.XLPE は交流送電用ケーブル絶縁材料としては,優れた絶縁性能を示すが,直流高電界下にさらされると,大量の空間電荷が絶縁層に注入され,電界が歪められ,絶縁破壊を引き起こす事例が報告されている. XLPE に添加剤など加えることにより,直流特性を改善して用いられているが,現在は,次世代材料として,架橋そのものを行わない新しい固体絶縁材料の開発が期待されている.そこで,本研究では直流送電ケーブル用の新規固体絶縁材料として,ポリエチレンよりも融点が高く,架橋工程が不要なポリプロピレン(PP : Polypropylene)をベース材料とした共重合体絶縁材料に焦点を当て,直流電界下での絶縁性能を調査している。


    測定装置

     実験では,PEA(パルス静電応力)法による空間電荷分布測定装置を用いて,各試料の空間電荷分布および外部回路電流の測定を行っている.本測定システムでは,測定試料をシリコーンオイル中に浸すことで直流電圧印加中の沿面放電を防止し,試料温度を均一に保っている.また,装置外周部に取り付けたバンドヒータで同図に示す高電圧電極ユニット全体を加熱することにより高温環境下で空間電荷分布測定を行うことが出来る.測定試料の温度は直接測定することが困難であるため,シリコーンオイルに接触させた熱電対により計測した温度を試料の温度としている。